世界の漆器産地・漆器事情
こんにちは、山家漆器店 店長の山家優一です。
これまでこのブログやTwitterなどでもお伝えしてきましたが、前職の関係でミャンマーに駐在していたこともあり、比較的海外出張は気楽にいくことができます。。いやむしろ時間さえあれば色々な街に飛んでいきたいです(笑)
ミャンマー時代は漆器とは全く縁のないサラリーマンとして駐在をしていましたので、あまり意識していませんでしたが、バガンという世界遺産となった観光地が漆器で有名であることが徐々にわかってきました。
またバゴーという地区に木工品の産地があることなどは耳にしていました。なのでミャンマーから漆器産業に入る前にお休みを使ってバガンやバゴーにはよく出かけたものです。やはり業界に入るので、世界の漆器事情や職人事情というものはとても気になりますからね。
また運良く2019年にはタイのチェンマイやラオスにも数回訪れることができ、過去に中国の仙、ベトナムのマーケットで販売されている螺鈿漆器などを見る機会もあり、今後とも世界の漆器事情については色々と知っていければいいなと思っています。産地としてはベトナムや韓国、ラオスの漆器工房にはまだ訪れることができていませんし、そもそも国内の漆器産地も全然訪れることができていないんですけどね、、、。
そこで今回はそんな世界の漆器産地を巡ったところ巡っていないところを含めて色々と個人的な勉強のためにも記載してみました。ほぼ個人的な忘備録ですが。。
意外と調べても世界の漆器産地事情をまとめたウェブサイトがなかったので、これを機に一旦ここに書き記して、今後しっかりとまとめのようなページを作ってもいいかもしれませんね♪
それではまずは日本から、訪れたことがある国々の漆器事業などについて書いていきたいと思います!
日本
まずはもちろん我らが日本!四大漆器産地としてしられる、会津漆器、山中漆器、越前漆器、紀州漆器産地をはじめ、伝統ある漆器として有名な輪島漆器など全国いたるところに漆器産地があります。
もちろん我々の生活においてもお箸やお膳、お弁当箱、イベントなどで使う記念品や仏具など漆器が身近な国ですので当たり前ですね。
漆器は英語で「japan」と言われるほど我々の大切な伝統工芸の一つであると思います。
最近では各産地において主に若手の人たちが新しいブランディングを立ち上げたり、漆器の技法を駆使して世界に挑戦したりという動きが活発化してきているような気がします。
上の写真のRENEWは越前漆器の事業者さんたちが立ち上げた新しいイベント。漆器だけでなく工芸をお客様に体験してもらったり、職人さんと会えるイベントを作っており、僕も実際に足を運びましたが、本当に多くのお客さんで盛り上がっている印象でした。
紀州漆器も年に一度歩行者天国にして行う紀州漆器祭りというものを開催しています(二日間開催)。
紀州漆器の様子は別の記事に書いているのでこちらをご覧ください
ライフスタイルの変化で漆器そのものを購入する文化が減少しているので、漆器祭りに参加する事業者様も少しずつ減っているのが現状ですが、越前漆器様のように新しい取り組みをしてお客様との新たな接点を作れるような産地作りができればいいなといつも思います。
ここまで書きましたが、僕自身は国内においてもまだほとんどの産地に行ったことがありません。
従事者として戻って丸三年が経った中、また新型コロナウィルスの影響で少し動きにくい世の中ですが、少しでも落ち着いたらすぐにでも様々な産地や漆器に携わるお店様などの元に足を運びたいと思っています。
従事者として戻って丸三年が経った中、今までは、和歌山、奈良、京都、福井、東京、沖縄など一部地域のみ回ったのみ。
会津の福嶋県や輪島・山中の石川県、青森県や木曽漆器の長野県等本当に多くの漆器産地など展示会などで拝見するだけでも非常に魅力的な漆器産地がありますので、新型コロナウィルスの影響で少し動きにくい世の中ですが、少しでも落ち着いたらすぐにでも様々な産地や漆器に携わるお店様などの元に足を運びたいと思っています。
中国
逆に「china」は陶器を表しますが、中国も非常に多くの漆器産地がございます。特に大きい産地は福建省の仙遊(せんゆう)という地域で、日本への輸入も多く行われております。
轆轤(ろくろ)という木をお椀などにくり抜く職人や漆塗り職人、また漆そのものの輸出も各国において非常に大きなシェアをにぎっています。
日本で売られている木のスプーンやお椀やトレーなどの多くは中国製ですし、国産漆が希少かつ非常に高級なので中国産を使うことが多く、我々の生活においても切っても切り離せない産地の一つです。
写真は以前仙遊の漆器産地に訪れた際のものです。なんといっても製造の規模感に圧倒されました。。
中には作業場の横にパソコンを置いて株の値動きを見ながら、右手にマウス、左手とたまに右手を使って塗りや加工作業をしている職人さんもいて、なんと器用な人がいるものだ、、、と思ったものです。
それでも技術は一級品でクオリティも高い中で、このスピードと値段はさすが中国といった印象でした。
ミャンマー
冒頭でもご紹介しましたが、2013年-2016年の三年間ミャンマーに駐在していたこともあり、ミャンマーの漆器文化にも他国に比べ多く触れることができました。
仕事内容はまったく違う会社だったのですが、家業が漆器だったことや、民芸品やお土産ものとしてミャンマー最大都市のヤンゴンでも至る所に漆器製品を見受けることができました。また仏教国でありますので、仏具などの多くを漆器で製造しています。世界遺産であり、漆器の産地(バガン漆器とも呼ばれます)であるバガンには幾度も訪れる機会がありました。
このように男性だけでなく女性の職人さんが数多く従事していらっしゃいました。またバガン市内にはバガン漆器学校という大学施設まであり、漆器の一大産地であることは言うまでもないでしょう。しかし、やはり収入面などからも大学の卒業資格を取っても漆器産業に従事する若者はかなり希少ということでした。日本の各産地においても同じように生活面からも若者からは敬遠され後継者不足に悩んでいるかと思いますが、ここミャンマーでも同様のことが言えるそうです。
タイ
タイには前職時、2013-2016年にかけて10回以上訪れていましたが、当時は漆器従事者でもなかったので、漆器について意識したことがありませんでした。
そういえばお寺とか漆黒で塗られていたかな?という印象程度で、ミャンマー程漆器のイメージが湧いていませんでした。
そんな中、とある事業で2019年に訪問する機会を得ることができました。チェンマイというタイの観光地で、これまで名前は聞いたことがあったものの訪れることができていなかったので、今回訪れてみて、漆器産地であることがわかりました。
ラオス
次に行ったことあるところでいうとこれも東南アジアの国の一つであるラオスです。
ラオス漆器もタイなどと同じように仏具に使用したり、木工品に漆を施したりしている商品が並んでいました。
産地としては世界遺産の街ルアンパバーンにあるようですが、実際漆器製造メーカーさんにお邪魔することができなかったのですが、販売店などには一部訪れることができましたので、その際の写真をご紹介します。
ベトナム
フォーやバインミーなど美味しい食で有名なベトナムにも漆器があります。ベトナムの漆器は螺鈿(らでん)という貝殻を漆器製品に貼り付けて装飾する技法を多用した製品が多く見られました。
その螺鈿の色合いは日本人女性なら好きになること間違いなしな可愛らしい色合いで、ココナッツの内側にカラフルな貝を装飾したものや、貝殻をうまく使って絵を描いたりしたりと、非常に繊細な技術であることが見受けられます。
まだベトナムの漆器産地は訪れたことがなく、webで調べた情報によると二大都市である、首都ハノイ市とホーチミン市に工場などがあるようで、近い将来必ず訪れてしっかりと報告させていただければと思います。
最後に
さて、ここまで世界の漆器産地について少し記述してみました。個人的忘備録して記載しているものも多く、間違いがあることもあるかもしれません。
観たことがないのですが、韓国やカンボジアにも漆器が存在するようですし、ヨーロッパなどでも漆器製造をされている方もいるようです。
現状新型コロナウィルスがいつ終息するかわからない中で難しいのですが、せっかく世界に出るのが容易になった現代において仕事を通じて同業の方々と意見交換をしたり、お互いの仕事につながる働きができればと思っています。
また、おすすめの漆器産地や、ここは良かったですよというオススメ店などもございましたらぜひご紹介いただければ嬉しく思います。
世界どこでも飛んでいきます!!(笑)